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「弟・ミニラの取扱説明書」という題名の付け方と発想がユニークでユーモラス。読み手を一気に内容へ引きこみます。説明書という表現の効果からか、ミニラの性格や特技、特徴の説明で情景が次々と思い起こされ、奈々子さんとミニラのにぎやかな日常が感じられました。文章はシンプルでリズミカル。奈々子さんの弟への眼ざしが生き生きと伝わります。ミニラへのにくたらしさと愛おしさが同居する感情の揺れも、飾らない言葉づかいで素直に伝わり、読み手も思わず笑みがこぼれてしまいます。
一方、後半の「ミニラが泣いてしまった」というエピソードで空気ががらりと変わります。「ミニラをいじめる人はきらいだ」「傷つけないで、話しかけないで、泣かさないで」という言葉は、前半でミニラを大好きになっている読み手の胸にまっすぐ届き、奈々子さんの悲しさと悔しさと強く共鳴します。
奈々子さんからミニラの友人へ発される「いつも仲良くしてくれてありがとう」は、ミニラを守る盾であると同時に、周囲への静かな合図でもあるのでしょう。「説明書」という形式を超えて、ミニラを取り巻く社会に向けたメッセージへ変わった瞬間でした。ユニークで力強く、深い愛情に満ちた作品です。どうかその眼ざしと言葉で、自分なりの「取扱説明書」を更新し続けてください。
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